Delius チェロ協奏曲ホ短調/
Elgar チェロ協奏曲ホ短調/
Saint-Sa”ens チェロ協奏曲第1番イ短調
(ジャクリーヌ・デュ・プレ(vc))


EMI Delius

チェロ協奏曲ホ短調

マルコム・サージェント/ロイヤル・フィル(1965年)

Elgar

チェロ協奏曲ホ短調

ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団(1965年)

Saint-Sa”ens

チェロ協奏曲第1番イ短調

ダニエル・バレンボイム/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1968年)

ジャクリーヌ・デュ・プレ(vc)

EMI 5041672

 不世出の天才Jacqueline du Pre(1945ー1987英国)わずか20歳そこそこの録音。音質はどれも良好でした。

 Delius(少なくとも日本では)作品的にほとんど話題になっていないでしょう。Lento-Con moto tranquillo-Lento-Con moto tranquillo-Allegramente〜5つの部分が途切れず演奏され、儚く漂うように変容する作品。英国音楽好きを自認する自分もあまり作品旋律に馴染んでいないけれど、いかにも風例の如く、つかみどころや情感の起伏の少ない、切なくも穏健に落ち着いたな英国風、遠い目に深呼吸するような旋律風情は気に入りました。若い女性とは信じられぬ落ち着きと自信に充ちた深い音色は、病にキャリアを断念せざるを得なかった運命を呪いたくなります。(24:42)

 Elgarは詠嘆際立つ著名な名曲であり、これは定評ある名演奏。この作品はとても難物でして、がっちりと骨太に力強い、色気ある演奏は少々作品のテイストを損なうような?(例えばロストロポーヴィチ辺り)かと云ってヤワに線の細い怠い演奏は聴いていられない!劇的であり時々寂しげな微笑むも浮かぶ第1楽章「Adagio - Moderato」はバルビローリがたっぷり歌って、チェロのテンションの高さ、デリケートに気品漂う表現は完璧。(7:58)途切れずそのまま第2楽章「Lento - Allegro molto」へ。細かい音形に余裕の技巧+絶妙のタメと躊躇いが決まってカッコ良いところ。(4:35)第3楽章「Adagio」はゆったり悠々と歌って慈しむようにデリケート、落ち着いた風情はいかにも英国風黄昏風景が懐かしい。(5:15)第4楽章「Allegro - Moderato - Allegro, ma non troppo」は第1楽章の詠嘆が戻って、やがてリズミカルに劇的に、名残惜しく全曲を締め括りました。(12:26)

 Saint-Sa”ensはAllegro non troppo-Allegretto con moto-Un peu moins vite途切れず連続で演奏される作品。浪漫に自在な旋律を誇る作品個性もあると思うけれど、バレンボイムは録音当時26歳の駆け出し、英国長老たちとは格が違って、ちょっぴり力みもあって落ち着かない。デュ・プレの技巧は目くるめく冴え渡ってスムース。第2楽章の哀愁がなかなかステキでした。(5:43-5:31-9:40)

(2023年7月29日)

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written by wabisuke hayashi